不動産は複数人で所有(共有と言います)することができ、それぞれの方の割合を「持分」といいます。
イメージしやすい例でいうと分譲マンションの敷地があります。分譲マンションの敷地は、各部屋の所有者がその部屋の広さに応じた割合で持分を持っているのが通常です。
分譲マンションの敷地の持分は各部屋の所有権と一緒に売買されるので問題になることはほとんどありませんが、これが土地や戸建ての持分となると、共有者同士で揉めやすい、分割の仕方が難しい、どれくらいの価値があるのかが分からないなど様々な問題が出てきます。今回はそれらのうちの持分の価値についてお話できればと思います。
不動産の持分だけを売買することは現実的に起こり得るのですが、その場合、持分の価値をどのように評価するのか、というのは難しい問題です。
所有権を持っていれば、その不動産をいつでも自由に使用できますが、持分を持っているだけだと、必ずしもその不動産をいつでも自由に使用できる訳ではありません。
このことが、持分の価値に大きく影響してきます。
購入できても自由に使用できないというのは不動産に限らず、買い手にとっては大きくマイナスだからです。
では「不動産の持分が売買されないのか」というとそういうわけでもありません。
完全な所有権を有されなくても意味のある持分であれば実際に取引されます。
簡単な例でいえば、一等地のような土地。
このような場合は使用に支障があっても資産価値の維持や向上を見込めるため、「将来性から投資として魅力がある」として取引される可能性があります。
そして他の例として、その不動産の他の共有者などの利害関係者との間で売買する場合があります。
同じ不動産の共有者からすれば持分の買取は所有権の単一所有に近づくわけですから、他の人に比べて価値があるということになります。
一般向けの市場に売り出して売れそうな価格と、先程のような特別な理由から必要としている限られた特別な需給向けの価格とは分けて考える場合があり、特別な需要(限定需要)のある人に向けた価格を「限定価格」と言ったりする場合もあります。
既にお分かりのことと思いますが、このような「限定需要」が無いケースでは、持分の使い道はほとんどない場合が多く、価格は大きく抑えられる傾向にあります。
持分の市場価格や限定価格がどの程度が妥当なのかというのは、市場流通性や投資力、利害関係人との関係性など、多面的な考慮が必要なことから、公式のように決まった算出方法が無く、一般論として解答するのが難しい問題です。
このような持分の評価や売買については、得意とする不動産会社に個別にご相談されるのが良いと思います。
私共は持分の売買の経験も豊富にあります。私共にご相談いただけますと幸いです。
また、同じような難しい案件として「借地権」の取り扱いというものがあります。
地主と借地人との調整など難しい内容なのですが、それはまた機会がございましたら述べられたらと思います。
課長・宅地建物取引士 小林 元
東京都千代田区内神田一丁目17番5号
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2024年1月22日執筆
〈注〉
執筆日現在の法令等をもとに執筆しており、その後の法令等の変更には対応しておりません。